アスリートなら知っておくべき水分補給法〜グリセリンローディング〜

アスリートなら知っておくべき水分補給法「グリセリンローディング」

 

長距離ランニングの大会終盤やサッカーやバスケットの試合の後半に、
足が遅くなる、パワーが出なくなる、と感じたことはないでしょうか。

普段の水分補給法を変えるだけで、
これらが改善するかもしれないということが明らかになっています。

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水分補給というと、水やスポーツドリンクを飲む、
という人は多いかもしれません。

今回紹介するのは、日本でも広まりつつある水分補給
「グリセリンローディング法」です。

中には一度は耳にしたことがある方もいるでしょう。

 

これを試した方の話では、
喉が乾きにくくなった、足がつりにくくなった、尿の量が減ったと言います。

どうやら、体から水分が失われにくくなるようです。
では普段行っている水分補給とはどう違うのでしょうか。

 

水やスポーツドリンクを飲むと、尿になるだけ・・・?

 

水やスポーツドリンクが体の中に入るとどうなるのでしょうか。

まずは体と水分の関係についてみていきましょう。

人の体の約60%が水分でできています(成人)。

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そのうち約2/3は「細胞内液」

残りの約1/3は「細胞外液」です。

 

外液は血液や汗、尿、涙などとして分布しています。

 

運動をして汗をかくと、細胞外液が減っていきます。
そして外液中の水分が減り、濃度が高くなります。

すると、その濃さを薄めようとして、
細胞内液の水が膜を通過して外液に移動します。

 

水やスポーツドリンクなどを摂取しても外液ばかりが増加しやすく、
内液は増えにくいと考えられます。

従って、摂取した水は尿になりやすく排泄されやすい、
つまり、体内に水分が残りにくいのです。

 

脱水はパフォーマンスを下げる!?

 

体内水分の減少というのは、単に「喉が渇いた」と嘆く状態ではありません。

体重あたり2%の水分が不足すると脱水症状が発現すると言われます。

失われる量が多くなるほど、人体への影響は大きくなり、

・熱中症になる

・筋肉がけいれんを起こす

・肉離れ・骨折につながる

などが発現します。

 

重症になると命にも関わってきます。

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例えば、男子高校生で体重が60kgの選手の場合。
体重の2%にあたる1.2Lの水分を失うと、めまいや吐き気などの脱水症状が発現します。

これはペットボトル(500mL)2本以上に相当します。
脱水状態になる前に、こまめに水分補給を行い
細胞内に水分を貯めておくことが大切です。

一般的に、アスリートは普段から鍛えられているので、
筋肉量も多く基礎代謝が高いです。

日頃から鍛えられたアスリートであれば、
たとえ水分補給が十分に行われていなかったとしても、
運動を継続することは可能かもしれません。

しかし質の高いパフォーマンスを求めるには十分な水分補給が必要になるのです。

 

なぜ水分が減るとパフォーマンスが落ちるのか

 

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大会の終盤で足が遅くなる、パワーが出なくなると感じる、という人は多くいます。

疲労の可能性もあるが、もしかしたら脱水が関係しているかもしれません。
脱水と筋肉には密接な関係があります。

筋肉には80%の水分が含まれています。
脱水状態の時には、筋肉内の水分も減少します。

そのため筋肉が本来の力を発揮できなくなるのではないかと考えられています。

従って、脱水状態になると、体内の水分が減少し、
水を飲んでも、尿や汗になって排泄されるばかりとなります。

さらには、筋肉の力が減少してパフォーマンスが著しく低下する場合もあります。

アスリートにとって、水分補給を正しく行うことは
活動レベルを維持するうえで必要不可欠だと言えます。

グリセリンが水分補給に役立つ秘密

グリセリンの高い吸水性・保水性が、
スポーツ時の水分補給に役立つのではないかと考えられています。

研究の結果、グリセリンは、アクアポリンと呼ばれる細胞の穴を通じて、内液に取り込まれることがわかっている。

細胞内に取り込まれたグリセリンは水を引き込むので、体内に水分を溜め込むことができると考えられている。

そのため、水分が汗や尿となりにくい。

(ピーター・コー著『中長距離ランナーの科学的トレーニング』より抜粋)

 

たとえ水を飲んだとしても、細胞に効率よく取り込まれなければ
最終的に尿として排泄されます。

その場合保水の効果は少なく、パフォーマンスの維持にはつながりません。

胃の中にあるだけではかえって重りとなる可能性も考えられています。
今回紹介するグリセリンは、水に溶かして飲むと保水されやすくなると言われています。

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グラフでは、グリセリンを含む飲料を飲んだグループ(黄色)と、
一般的なスポーツドリンを飲んだ場合(赤線)を比較した研究データです。

補給後、前者は体重が増え、運動後の体重減少も抑えられています。

これに対し後者は、飲んだ後も体重はあまり増えず、急速に脱水が進行しています。

つまり、グリセリンの飲料を飲んだグループでは
飲んだ水分に応じて体重が増え、尿による排泄も抑えられているといえます。

猛暑のトレニングやレースでは
スポーツドリンクをいくら飲んでも追いつかないというケースも珍しくありません。

飲んでも胃に溜まるだけということもあります。
グリセリンローディングはこうした事態を予防してくれると期待されます。

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 グリセリンには副作用はないのか

グリセリンは食品に含まれている脂肪が分解してできたものです。

脂肪が分解されて、グリセリンと脂肪酸になり、
グリセリンは再度脂肪に合成されて体内に蓄えられるほか、糖質の分解や合成などにも使われます。

グリセリンローディングで摂取する量であれば安全性には問題ないとされています。

飲むのに効果的なタイミングはあるのか

グリセリンは体内に取り入れられるまで2時間ほどかかると言われています。

そのため、大会当日の朝、グリセリンローディング製品を水に溶かし、
少しずつ飲むとよいと言われます。

長時間にわたる競技の時には
前夜の夕食から寝る前までに飲んで、より多くのグリセリンと水分を体内に
取り込んでおくとよいでしょう。

もちろん、競技会中にもこまめな水分補給は欠かせません
脱水によるトラブルは脱水症状だけではありません。

筋肉細胞の水分不足が肉離れやけいれんにもつながります。

何を行ってもこうしたトラブルを改善できなかった方は
グリセリンローディングを試してみる価値はあるかもしれません。

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アスリートのパフォーマンスアップを実現する

スポーツ専門薬剤師コピーライター

田中由那子