スポーツにおける乳酸と筋肉疲労の関係及び代謝性アシドーシス

スポーツをする上で、疲労とは切っても切れない関係にあります。

よく、疲労を感じる際に、乳酸が溜まったと表現されますが、
今回は乳酸と筋肉疲労の関係性や、乳酸により引き起こされる
トラブルについて解説してまいります。

そもそも乳酸ってどういうもの?

乳酸とは

まず、多くの人は昔から、疲労を感じたり、
筋肉が凝り固まるのは、乳酸が原因だと考えていますが、
実際には乳酸と疲労には因果関係はなく、
むしろ今日では、疲労を軽減する役割を果たす物質であると考えられています。

乳酸って疲労物質だと言われているけど実際にはどうなの?

乳酸が疲労の原因と考えられていましたが、
現在では疲労軽減物質なのではないかともいわれており、
若干混乱してしまいます。

現在の研究では、乳酸はやはりポジティブにとらえられているようで、
米国の研究では、乳酸は血液中に移動して、
心臓や骨格筋の遅筋線維内に輸送されて、
エネルギー源として利用されると考えられています。

したがって、乳酸=疲労の原因と考えるのは
誤った認識である可能性が高まってきました。

乳酸はなぜ発生するのか糖質と脂質との関係

運動を行う際に、人間は筋肉を収縮させながら体を動かしていきます。

そして、体を動かす際のエネルギー源として、
糖質と脂質が利用されます。

イメージとしては、これらは自動車を動かす際の燃料、
筋肉がエンジンと考えるとわかりやすいと思います。

しかし、これらの燃料は乳酸との関係において異なる機能を持っており、
糖質は乳酸を発生させる一方、脂質は乳酸を発生しません。

各スポーツにおける乳酸の影響とトレーニング方法

長距離系種目

長距離系、例えばマラソン選手の場合には、
なるべく乳酸を筋肉にため込まないような工夫をすることが
大事だと言われています。

先ほど申し上げたように、糖質は乳酸を放出する一方、
脂質は乳酸を出しません。

したがって、長距離系の運動を行う際には、
いかに糖質をエネルギー源として利用しないかが大事であるとされています。

長距離系選手においては、長距離走などで一番大事なことは、
乳酸発生の元となる糖質をできるだけ使わないで
脂肪を燃焼させる体質になることが大事だと言われています。

短距離系種目

乳酸はエネルギー源として利用されると考えられていることは先ほど紹介しました。

そして、短距離系、無酸素系運動においては、
一瞬の爆発力を如何に発揮できるかが大事になります。

そしてそのうえで、乳酸を筋肉内にため込んでおくことが必要と考えられます。
短距離系でパフォーマンスを発揮するには、
日ごろから乳酸が溜まった状態を作って置くことが大事だとされます。

球技系種目

球技系の種目については、種目にもよりますが、
基本的には長時間体を動かし続けることが多いと思います。

そこで、やはり乳酸との関係においては、
なるべくため込まないような状態が望ましいといえます。

乳酸はエネルギー物質であり、
これは軽く動いている際に消費されます。

したがって、試合中にゆっくり動くタイミングで
乳酸を除去することが可能になります。

スポーツパフォーマンスとエネルギー源の回復の関係

スポーツパフォーマンスは、競技間の限られた時間内に
いかに速く筋力を回復するかにかかっています。

すなわち、これは筋肉のそれぞれのエネルギー供給源の
回復速度に依存するということです。

クレアチンリン酸系

人間が体を動かす際には、
いかに効率的に筋肉を動かすことができるかが大事です。

そしてその際に、ATP(アデノシン三リン酸)という物質が筋肉を動かす際に利用されますが、
この
ATPは一度使われるとADP(アデノシン二リン酸)に変わってしまい、
パワーの発揮に利用されなくなります。

しかし、体内のクレアチンがあれば、
この
ADPをATPに再生産することができます。

解糖系

解糖系においては、筋肉中の糖質を利用してATPを生産します。

解糖系の特徴は、グリコーゲンが分解されて、
結果的に乳酸が生産されます。

有酸素系(クエン酸(TCA)回路)

TCA回路においては、ミトコンドリア内で行われます。
してこのミトコンドリアは、エネルギーの再生産の役割を持ちます。

また、大量の酸素を要することから、
酸素不足になると機能しなくなります。


代謝性アシドーシスとは

疲労のメカニズムの一種です。
他にもエネルギーの枯渇、脱水と体温上昇、カリウムとカルシウム、
中枢系の疲労などがあります。

生体の血液の酸塩基平衡は一定のphになるように保たれています。
そしてこの平衡を酸性側にしようとする状態をアシドーシスと呼びます。

代謝性アシドーシスとは、酸性物質が排泄されない状態であり、
呼吸のバランスが乱れ、最悪の場合には呼吸困難に陥ってしまう恐れもあります。

代謝性アシドーシスのメカニズム

代謝性アシドーシスは,酸の産生もしくは摂取の増加、
酸排泄の低下、または消化管もしくは腎臓からの
HCO3喪失によって
引き起こされる酸の蓄積です。

HCO₃は体内のphを一定に保つ役割を果たしますが、
これ得るが喪失してしまうことにより、呼吸に問題が生じてしまいます。

代謝性アシドーシスと有酸素運動のパフォーマンスの関係

代謝性アシドーシスが生じると、運動におけるパフォーマンスが低下します。

代謝性アシドーシスを引き起こした状態だと、息が上がってしまっており、
うまく酸素を供給できていない状態にあります。

運動をしたことがある方はわかると思いますが、
激しい運動を長時間行うと、息が上がり、
最悪の場合視界がぼやけてしまうことがあると思います。

この状態のときすでにアシドーシス状態にあり、危険な状態にあります。

運動時にこのような状態になった場合にはすぐに運動をやめ、
休むようにしましょう。

最悪の状況として呼吸困難になってしまうので注意しましょう。

まとめ

乳酸=疲労原因と考えるのは間違い。

乳酸はエネルギー源として利用される

競技によって乳酸の使われ方や役割が異なる

乳酸がスポーツにおけるパフォーマンスを左右する

乳酸に対する正しい知識をもち、行う競技においての代謝の違いを理解する