アスリート必見!ストレッチで筋肉痛が早く治ると思っていませんか?

「筋肉痛を治すならストレッチ!」昔からよく言われていたことです。

運動にはつきものの『筋肉痛』と、ウォーミングアップ、クールダウン等、
あらゆる場面で取り組む『ストレッチ』。

今回はスポーツと切っても切り離せないこの2つのキーワードについて解説します。

ストレッチは競技や練習で引き起こした筋肉痛を解消する?

ストレッチが筋肉痛を早く治すと言われているけど

筋肉痛は、正式には遅発性筋肉痛(DOMS)と呼ばれます。
一般的にエクササイズ終了後24時間程度で発生し、2~3日程度続きます。

筋肉痛の原因としては、血中に乳酸が溜まり血行を滞らせているという説、
伸張性筋活動による微細な筋損傷によって炎症が起きているという説が代表的なところで、
更に最近では運動によって筋からATPなどが漏出することで筋が過敏に反応して痛みが生じる、
といったことも言われています。

つまり、いまだにはっきりとメカニズムが解明されていないのが現状です。

原因が解明されていないので、当然治す方法も定まっていません。
「ストレッチで筋肉痛が治る」も根拠があって言われていることではないのです。

仮に現在の主流となっている、微細な筋損傷による炎症という考え方に合わせると、
筋損傷の状態でストレッチをするわけですから、損傷(傷口)を広げる行為に他ならず、
それによって治ることがないのは容易に想像がつくと思います。

筋肉痛を早く治すのに効果的な方法とは?

前述した通り、筋肉痛の原因がわかっていない以上、
決定的な治し方もわかりませんが、
仮に筋線維の損傷による炎症が筋肉痛の原因だとした場合の改善方法を以下にまとめました。

アイシング

野球の投手が試合後に行っているように、
アイシングは筋肉の炎症を抑える方法としてよく知られています。

氷嚢などに氷と少量の水を入れ、患部に直に当てましょう
(体温によって氷は溶けていきますので凍傷の心配はありません)。

15分程度、感覚が無くなるまで冷やすのが一般的なやり方です。

栄養補給

筋線維の損傷からの回復を促すため、
バランスの取れた食事でしっかり栄養をとりましょう。

筋肉の素となるたんぱく質はもちろんですが、
栄養の効率的な吸収や体調の維持のために、
すべての栄養素を満遍なくバランスよく摂取することが大切です。

十分な睡眠

摂取した栄養をもとに、実際に体を回復させるのは主に睡眠時。
特に22時~深夜2時の間が回復のゴールデンタイムと言われています。
筋肉痛がある場合はしっかり睡眠をとりましょう。

筋肉痛を抑制する可能性のあるもの

一方、いくつかの方法によって筋肉痛を抑制できる可能性もあります。

・カフェインをエクササイズ前に体重1㎏あたり5mgのカフェインを摂取する。

・競技会前のカフェインの摂取はドーピング違反となる可能性があるので控えましょう。

・分岐鎖アミノ酸(BCAA)を運動前後に摂取する。

・エクササイズ終了後、10分間の休憩を取り、
 その後3分間のクライオセラピー(冷水に体を浸したり冷やしたりする水風呂のようなもの)を行う。

・エクササイズ前に10分~20分程度有酸素運動を行う。

非アスリートを対象にしたレポートからの紹介ですので、
万人がこの方法で抑制できるかは未知数ですが、
一度試してみてはいかがでしょうか。

アスリートにとってそもそもストレッチの役割とは

アスリートがストレッチを行う主な理由は柔軟性の改善だと思います。
ただし、一口にストレッチと言っても、大きく2種類に分かれます。

静的ストレッチ(スタティックストレッチ)と動的ストレッチ(ダイナミックストレッチ)です。
いずれの方法も柔軟性の改善に貢献はしてくれますが、いくつか異なる特徴があります。

名称 効果(主なもの) 伸ばし方

静的ストレッチ

(スタティックストレッチ)

・筋柔軟性の改善

・血行の促進

・部位を受動的に伸ばす
              

動的ストレッチ

(ダイナミックストレッチ)

・関節可動域の改善

・筋間コーディネーションの改善

・血行の促進

・筋温の上昇

  ・部位を能動的にほぐす   

 

通常ストレッチと聞いて想像する前屈等は静的ストレッチになります。
伸ばす部位を明確に定め、反動をつけずに筋肉自体をじんわり伸ばすストレッチです。

一方、動的ストレッチは関節を能動的に大きく動かすことで関節全体をほぐしていきます。
動きが大きくなるため、筋温の上昇に繋がると共に、実際の運動と同様に、
動かす部位、支える部位の連動性(筋間コーディネーション)が生まれ、
本番動作の予行にもなります。

こういった特徴から、スポーツのウォーミングアップで良く用いられます。

肩の筋肉である三角筋を例にすると、ストレッチしたい方の腕を胴体側に伸ばし、
反対の腕で抑えて伸ばしていくのが静的ストレッチなのに対し、
肩を大きく回すのが動的ストレッチになります。

ウォーミングアップ

動的ストレッチが最適です。
筋温の上昇、心拍数の増加、関節可動域の拡大等が達成されるよう、
動的ストレッチで関節を大きく動かしていきましょう。

股関節の柔軟性アップ

股関節は多くの筋が絡む複雑な関節です。
股関節自体の柔軟性を向上させるには股関節の動的ストレッチ(下記参照)が必要となりますが、
その前提として静的ストレッチによって、腸腰筋や大殿筋、ハムストリングスなど
周辺の筋の柔軟性を高めておくことも必要になってきます。

筋力アップ

筋力アップには、ターゲットとする筋に相応の負荷をかける必要があるため、
筋への負荷がかからないストレッチ動作では筋力アップは出来ません。

ただし、筋力強化の代表的な手段であるスクワットや
デッドリフトといった筋力向上エクササイズを実施する際には、
ある程度の柔軟性が不可欠であり、
その意味で筋力アップのための前提として必要だと言えます。

アスリートが試合や練習前に取り組んだ方がいいストレッチって?

近年、運動直前の静的ストレッチは筋力発揮の妨げとなる可能性が指摘されています。
そのため、練習や試合前には動的ストレッチを中心に取り組みましょう。
特に、運動の際に中心となる下記の3つの関節の動的ストレッチが推奨されます。

以下にその代表的なものを紹介します。

 

足首の動的ストレッチ

足首を上下に動かします。
特に脛の筋肉を使ってつま先を上に上げる動作を意識しましょう。
目安:20回程度

動画は最初の部分。

股関節の動的ストレッチ

壁などを支えにしながら、足を大きく前後に振ります。
特に前方に大きく振り上げましょう。

柔軟性の低い方は無理のない範囲で行いましょう。

目安:左右入れ替えて各10回程度

壁に向かい合う形で立ち、足を左右に大きく振ります。
特に外側に大きく振り上げましょう。

目安:左右入れ替えて各10回程度

肩甲骨回りの動的ストレッチ

バンザイ姿勢で小指をくっつけた状態からスタートです。
手のひらが外に向くようにひねりながら両手を開きます。
肩の高さまで開いたら肘を90度程度までたたみ、胸を張って肩甲骨を寄せます。
この動作を繰り返しましょう。

肩関節ではなく肩甲骨を動かすために、
動作中は常に耳より背中側で動作をするのがポイントです。

目安:10回程度

この3つの関節は特に可動域が広く、
スポーツ動作に直結する関節です。
本番前にしっかりとほぐしておきましょう。

試合後のクールダウンでした方がいいストレッチは?

クールダウンでは静的ストレッチが推奨されています。
これは疲労によって滞った血流を促進させるため、
部位ごとに筋肉を伸ばす必要があるためです。

筋肉は全身が鎖のように連動していますので、
基本的には全身の筋肉をくまなく伸ばしましょう。

ただし、股関節の付け根の腸腰筋、
お尻の大きな筋肉である大臀筋は凝りやすい部位ですので特に入念に行いましょう。


足の付け根(腸腰筋)の静的ストレッチ


お尻(大殿筋)の静的ストレッチ

まとめ

筋肉痛のメカニズムはまだ解明されていない。

筋肉痛を回復させるには十分な栄養と睡眠をとる。

ストレッチは静的ストレッチと動的ストレッチに分かれる。

静的ストレッチは筋肉をじんわり伸ばす。

動的ストレッチは関節や筋を大きく動かしてほぐす。

ウォーミングアップは動的ストレッチで足関節、股関節、肩甲骨を動かす。

クールダウンは静的ストレッチで全身の筋肉をしっかり伸ばす。

 

参考・引用

第一三共ヘルスケアHP 

https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/health/symptom/39_kinnikutsu/index1.html

NSCAジャーナル2016.4.vol23.num3

Michael Randoneトレーニング経験のないクライアントに対して遅発性筋痛を抑制するために