最速三強から短距離走のフォームのコツを学ぶ〜走法編〜

前回は、骨格からのアプローチから

山縣亮太選手
桐生祥秀選手
ケンブリッジ飛鳥選手

以上三選手を分析しました!!

どちらかというと、一流の黒人選手たちの
持つ骨格を理想として、三選手が
どれだけ理想に近いかを分析したものでした。

加えて補足すると、
骨格は天性のものと思われがちですが、
トレーニングの仕方でも骨格は変化し、
調子の良し悪しにも関わってくるものとなります。

ですから、日本人だからダメということは
なく、最高の骨格に整えて本番に臨めば
海外の選手たちとも渡り合うことができます!(^^)/

その証拠として最たるものが、今回の
銀メダルといえるでしょう!

さて、今回は三選手を走法の面から
アプローチをかけていきます。

日本トップの三選手はどのような
走り方の特徴を持っているのでしょうか?

データから分析する走りの特徴

リオ五輪での三選手+U.ボルト選手、J.ガトリン選手、
Y.ブレーク選手のタイム、ピッチ(1秒間の歩数)、
ストライド(100mの走り切るまでの歩数)を
分析したのでお見せします。

山縣選手
10秒05
ピッチ   4.78
ストライド 48歩

桐生選手
10秒23
ピッチ   4.69
ストライド 48歩

ケンブリッジ選手
10秒13  
ピッチ   4.64
ストライド 47歩

ボルト選手
9秒81
ピッチ   4.18
ストライド 40歩

ガトリン選手
9秒89
ピッチ   4.40
ストライド 41歩

ブレイク選手
9秒93
ピッチ   4.63
ストライド 46歩

となっています。
超ピッチ型の山縣選手と超ストライド型のボルト選手を
比較するとタイプがまるで違うのがわかりますね。

どちらが正解というのはなくて
速ければすべて問題なしです。(笑)

大体9秒台を出すためのと
基準となるのが、

ピッチ4.6×ストライド46歩で、
三選手ともピッチは基準を満たしていますが、
ストライドの面であと一歩となっています。

こうしたデータの面から走りの分析をすることも
とても重要な要因となってきます。

次はいよいよ本題である走法の分析に
入っていきます!!

山縣亮太選手~ピッチと心中するど直線な走り~

山縣選手の走りのデータで見る走りの特徴は
超高速ピッチと抜群のリアクションタイムからの飛び出しです。

また、注目すべきポイントは、進行方向へ対して
いっさいの無駄を排した、超直線型の体の使い方をしています。

腕振りを見ると、重心の近く(真横)を直線的に振り、
上下動を起こさないために、ほぼ重心より前で腕振りをしない
ようにしています。

こうした走りのメリットとしては
・上下動がないので100mで無駄な距離を走らない
ということが挙げられます。

逆にデメリットとしては、
・スピードが多きくなるにつれて腕振りがすっぽ抜けやすくなる(力が逃げる)
→前に出ないようにする強い身体スペックと精密さが必要

・腕振りの位置が重心から離れてしまうと達成しえない

山縣選手は骨格のスペックを変化させることで、
重心の近くで腕振りができるようにし、
さらに自身の意識と努力によって腕振りが前方に
すっぽ抜けることの無いようにして、
100mを最短最速で効率よく走れるように
しているのです。

高校は広島県屈指の進学校卒、大学は慶応義塾大学卒と
高学歴の山縣選手らしい安定した力を発揮できる頭のいい走りといえます。

ただ、山縣選手ほど上下動がほとんどない完成された走りになると
ストライドを獲得することが困難になります。

まさに、その超高速ピッチと心中することを覚悟した
走りであると考えられます。

 

 

ケンブリッジ飛鳥選手~高重心を生かし切る走り~

ケンブリッジ飛鳥選手は山縣選手とはほぼ正反対の
走りをしているといえます。

なかなか日本人選手が世界大会で後半に黒人選手を追い抜くシーンを見ることはできませんが、
後半のまくり上げはさすがジャマイカの血を引いていることもあり、
彼はいずれそういったことも実現させてしまうかもしれません。

特に、銀メダル獲得時のアメリカに競り勝つ後半の粘りを
経験したことで、何かをつかみ、一気に今年中に9秒台まで駆け上がる
気配を感じます。

走りの分析に入ると、後半型ではありますが、特にピッチが遅いストライド型
というわけでもなく、ややピッチよりのバランスの取れたデータが出ています。

9秒台を出すには、Y.ブレークと同じ46歩で100mを走り切る必要が
あるかと思われます。

また、山縣選手が絶対に腕を重心より前に出さない走りをするのに対し、
ケンブリッジ選手は、顔の近くまで掌が上に上がり、山縣選手と比べると
上下動を使ってストライドを獲得しています。

この腕振りのメリットは、
・重心の位置を高くキープしやすい
・後半にピッチが落ちづらい
・腕の上下動のほうが前後の腕振りより
 腕の重心の移動距離が少ないため、ロスも少ない

デメリットは
・重心を通過した後にアクセントが入ってしまうと、
 後方回転のエネルギーが生じてしまう
・前後が加わるとメリットを殺してしまう

などが挙げられます。

ただ、ボルト選手をはじめとする黒人選手も
しっかりと最後まで腕を振っているという
選手が多く、天性の骨格を生かせる
走りですので、そのアドバンテージを
生かし切って、突き抜けた結果を
期待したいです。

 

桐生祥秀選手~驚異の加速力を生み出す内旋~

常に9秒台を期待され続け、追い風参考記録ながら9秒87をたたき出している
桐生選手ですが、今回の五輪では桐生選手にしては、物足りないデータしか
取れませんでした。

ピッチに関しては、調子がいい時は山縣選手に匹敵する
4.8に近いデータをたたき出しています。

前回の骨格のからのアプローチでも述べたように、
重心を運ぶという視点からは、デメリットの多い、
腕振りや、足の筋肉量になってしまっており、
何かしらの調整ミスがあったと考えられます。

ただ、リレーでは第三走者として圧倒的な
加速力を見せつけ、銀メダル獲得に大きく
貢献してくれました。

メンタル的な部分もあったとは思いますが、
個人で結果を出せず、リレーで結果を出せた
ということについて突き詰めると、
直線かコーナーかというポイントに
たどり着けました。

桐生選手の走りの特徴は
疾走時右腕を後方にひいたときによく
現れています。

 

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かなり掌が内側に向いていることがわかります。これを内旋といいます。
普通にしていてここまで掌だけを内側に向けると
走りづらいのはお分かりになると思います。

では、なぜ、このような内旋が起きるのでしょうか?

言葉にすると難しいのですが、
肘を後ろに引くときの肩を前傾させるように
腕振りをしてみてください。

自然と手指が内側に向くのがわかると思います。

この腕振りを速くするとわかるのですが、
通常の腕を動かす腕振りよりも、肩を伝った腕振りは
省エネ且つ、速い速度で腕振りをすることが
できることがわかります。

元々桐生選手は中学時代は200mに定評のある
選手でしたから、自然とコーナーでの傾きを
生かす走り方が身についたのかもしれません。

腕振りの速度に足のタイミングを合わせるのが難しいのですが、
調子のいい時の桐生選手は、高速回転を生み出しつつ、
爆発力のある加速となかなか落ちないピッチ(後半の粘り)で
他者を全く寄せ付けません。

話を戻すと今回桐生選手は
肋骨が上方回旋し、鎖骨が閉じ、体幹部分が太くなっていたので
腕振りをすると体幹部分に腕が当たってしまうので、
どうしても腕振りが重心の外側+上側になってしまったので
前に進むのを助ける腕振りができなくなり、
直線の100mに関しては、無理やり走っていたので
後半の粘りを欠いてしまいました。

ただ、コーナーに関してはまっすぐ走るわけではないので
腕振りが自然と内旋し、遠心力によって
本来の力を発揮できるポジションが形成されたのではないかと
推測されます。

コーナー走100mなら決勝進出していたかも
しれません(笑)

追い風参考でも9秒8台で走った選手はほとんどいないので
ぜひとも今回の五輪のプレッシャーから解放され、
一気に100mで9秒台をたたき出してほしいと思っています。

 

まとめ

2回にわたって骨格や走法から日本のトップ三選手を分析しましたが、
いかがだったでしょうか?

なかなか他ではないような視点から
分析したので、いまいち理解できない部分も
あったと思います。

今回の内容に関して、図を使ったり、実際に体を
動かしたりするなどして文字ではわかりづらい部分を
理解できるように定期的に勉強会を開いたりしています。

興味のあるかたはこちら
からどんな様子か確認してみてください(^^)/

大事なのは一つの走法が答えというわけではなく、
人には人に合った走り方があります。

私自身も22歳の時に指導者がいなくなって、走りたいように走ったら
三カ月で100mが0.5秒近く速くなった経験があります。

今回の考え方が皆さんの競技パフォーマンスの向上につながれば
これほど嬉しいことはありません(^◇^)

世界で戦えるアスリートを目指してやったりましょう!!!